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声優 小野 賢章 × 音響監督 清水洋史 対談インタビュー vol.1
2022年01月27日
見届け人 小野賢章×清水音響監督
未来の仲間に捧げるメッセージ


①キミコエ・オーディションへの期待

第3回キミコエ・オーディションの見届け人を務める声優・小野賢章さんと、審査員を務める清水洋史音響監督によるスペシャルトーク。第1回は、それぞれの立場からキミコエへの思いや参加者に期待することを語っていただきます。

──まずは小野さんにお聞きしたいのですが、キミコエ・オーディションという次世代声優発掘・育成プロジェクトについてどのような印象を抱いていますか?

小野「素晴らしいことだと思います。昨今のブームで声優という職業が昔よりもメジャーになりましたが、こうしたプロジェクトによって声優・アニメ業界のさらなる底上げにつながるんじゃないでしょうか。それによってブームがさらに過熱し、今以上に声優が憧れの職業になるという相乗効果が業界全体に生まれるといいですね」

──小野さんが今回のキミコエ・オーディションの見届け人を引き受けたいきさつは?

小野「前回のキミコエ・オーディションでグランプリに輝いた林幸矢君の声優デビュー作『啄木鳥探偵處』に僕も出演していて、その縁で声を掛けていただいたのかなと思っています。お話を頂いた時の率直な印象として『見届け人っていいな』と興味が湧きました。審査員だったらお断りしていたと思います」

──見届け人という立場のどんな点に惹かれたのでしょう?

小野「僕は『役者は一生勉強するもの』と思っていて、いくら芝居の経験が浅い人たちに対してとはいえ、『これはこうするもの』と教えるのは腑に落ちないところがあります。その点、見届け人という立場であれば、自分も参加者たちから何かしらの影響を受けることができそうで、役者として魅力を感じました。また、声優デビューを目指す皆さんの一生懸命な姿を見ることで、まだこの世界で右も左も分からなかった頃の自分の気持ちや芝居を思い出すことができ、改めて勉強になるんじゃないかなという期待もあります」

──清水監督は第1回・第2回のキミコエ・オーディションにも携わってこられましたが、小野さんに見届け人として期待していることがあればお聞かせください。

清水「参加者にとって私は“初めて会うプロジェクトの関係者”だけど、小野さんのことは様々な作品や活動を通じて馴染みがある憧れの存在。そうした人に近くで見守られていると、いい意味で緊張できるんじゃないでしょうか。身近で心強い先輩として参加者たちと一緒に伴走しつつ、目標とする人に見守られる緊張感を与えてくれることも期待しています」

小野「じゃあ、あまり笑顔で接しない方がいいですか?(笑)少し静かな雰囲気でいるとプレッシャーを与えられるかな」

清水「そうですね。『甘えるな!』ぐらいのテンションで(笑)」

──清水監督のお話を受けて、小野さんは参加者たちとどのように接していきたいと思いますか?

小野「清水さんは音響監督としての観点から参加者たちを見ると思うので、僕は役者の観点から見ていきたい。役者としての立ち回りなどを重点的に注目しながら、これから仕事仲間になるであろう彼らに先輩として『こうした方がいい』とアドバイスしたいですね」

清水「私が小野さんに最も期待しているのは、まさにそこです。小野さんはこれまで声の仕事だけでなく舞台など幅広く経験し、声優というテクニカルな専門職にとどまらず演技そのものの根幹を分かっている人。参加者たちの役者としての根幹を観察し、的確なアドバイスを送ってくれることでしょう」

──小野さんは今回の見届け人のように“後輩を見守り助言する”という立場に普段から慣れていますか?

小野「僕の事務所には先輩も後輩もほとんどいなくて、ずっと孤高のプレイヤーでした(笑)。他の事務所で年下の役者と仕事をする時も、だいたい彼らの先輩が一緒に参加しているので、気になることがあっても『ここは僕が言うべきではない?』とためらってしまうんです。なので、これは絶対プラスにならないからやめた方がいい、と思ったことだけ本人にこそっと伝えるようにしています」

──参加者たちには、受け身でアドバイスを待つより、自分から積極的に意見を聞いてきてくれる方がいいですか?

小野「はい。新人はそれぐらい貪欲な方がいいですよ。僕も先輩方にいろんなアドバイスを何度も求めてきましたから。僕が言えることは自分で学んで身につけた感覚だけですが、アドバイスを素直に受け入れるかどうかは本人次第なので、あまり気負わず『1つの例として聞いてくれる人がいればいいや』くらいの気持ちで臨みたいと思います」

<第2回に続く>